不溶性食物繊維で腸内清掃

不溶性の食物繊維は、腸内環境を整えるうえで大変重要な栄養素です。不溶性の食物繊維は、人間の消化液では消化されません。植物の細胞壁の構造物資なので、繊維の力が強いからです。

また、水溶性の食物繊維のように水に溶けませんが、水分を吸収して膨らむ性質があります。その強い繊維と膨張性によって、腸内にたまった食べカスや細菌の死骸、腸細胞の死骸などをからめとりながら、大便を形成していきます。

食べカスや細菌の死骸、腸細胞の死骸などは、腸にたまる生ゴミのようなものです。放置すると、悪玉菌が増殖して腐敗物質を放出するようになります。その腐敗物質が、腸内環境を悪化させ、内蔵諸器官を傷つけ、体を老化に導いてしまいます。

不溶性食物繊維を摂ると太りにくくなる

不溶性の食物繊維は、いってみれば「腸内の掃除機」です。強力な吸引力で腐敗物質をからめとり、大便として排泄してくれます。不溶性の食物繊維をたっぷり摂っておけば、腸内で悪玉菌が天下を取ることもなく、人は太ることもありません。言いかえれば、太っている人は、食物繊維の摂取量が少なすぎるのです。

また、便秘症の人にも不溶性の食物繊維が必要です。不溶性の食物繊維は、水分を吸って大きく膨張すると、腸を刺激して蠕動運動を起こさせます。蠕動運動とは、腸の収縮運動で、内容物を移動させる働きのことです。蠕動運動が活発になると、便意を感じやすくなるとともに、排便力が高まるのです。

デトックス効果の高い不溶性食物繊維

不溶性の食物繊維の働きは、それだけではありません。腸内に入り込んでしまった水銀やカドミウムなどの有害金属や発ガン物質などを吸着し、大便と一緒に排泄する働きもあります。「デトックス(解毒)」という健康法が流行したことがありますが、不溶性の食物繊維ほど、デトックス効果が期待できる成分はないでしょう。

不溶性食物繊維を含む食べ物

不溶性の食物繊維は、いんげん豆やひよこ豆、小豆、大豆、えんどう豆、枝豆などの豆類やおからに豊富です。納豆やモロヘイヤ、オクラなどのネバネバ食材にも多く含まれています。豆類とネバネバ食材は、水溶性の食物繊維も豊富ですから、日々食べていると、両方の食物繊維をバランスよく摂れることになります。

また、シソやパセリ、ニラなどの香味野菜、キクラゲや干しシイタケ、エリンギ、エノキダケ、シメジなどのキノコ類、かんぴょうや切り干し大根などの乾物類にも多く含まれます。