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肥満は諸悪の根源

健康診断や人間ドックのたびに、異常マークがつけられる常連といえば、肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧あたりではないでしょうか。

この4つは、動脈硬化をもたらす危険因子として、「死のカルテット(四重奏)」とも呼ばれています。

カルテットなのですから、この4つは同じような比重で横並びのように思えます。

だが、しかし、医師に言わせると「肥満こそが、糖尿病、高脂血症、高血圧の上流に位置する諸悪の根源」なのです。

というのも、脂肪細胞は、ただ脂肪を蓄積するだけではないのです。

これまで考えられていたような”おとなしい”存在ではありません。

内分泌細胞として肥満細胞が放出するホルモン様物質が、中性脂肪やコレステロールのもとになったり、血圧を上げたり、インスリンの働きを抑えて糖尿病を引き起こしたりする、といったメカニズムが遺伝子レベルの研究で判明してきたからです。

皮下脂肪と内臓脂肪2種類の体脂肪

しかし、肥満が敵といっても話はそう単純ではありません。

というのも、実は体脂肪といっても一様ではなく、2種類に大別されるからです。

脂肪は脂肪、同じじゃないの?

肥満といわれたとき、ほとんどの人がすぐに思い浮かべるのは、お腹、お尻、二の腕などにつく脂肪でしょう。脇腹をつまむだけですぐ納得できるから無理もありませんが、これは「皮下脂肪」です。

もう一つ、胃や腸などの内蔵のまわりについた「内臓脂肪」というものが存在します。

皮下脂肪型の肥満か、内臓脂肪型の肥満か、人によってかなり違うのです。

内蔵脂肪は危険因子のリーダー

さまざまな生活習慣病をもたらす元凶としては、体脂肪のあり方こそが問題であって、皮下脂肪よりも内臓脂肪のほうが格段に質が悪いです。

内臓脂肪は死の四重奏を奏でる悪者のリーダーなのです。

実際、外見は太っていないのに心筋梗塞を起こした人を調べると、全体の約4割は内臓脂肪が顕著だそうです。

通常、同じ体重であっても、男性のほうが女性に比べて圧倒的に多量の内臓脂肪を持っていて、10代から直線的に増加していきます。

これに対して女性は、若い時は皮下脂肪が中心ですが、閉経後に急激に内臓脂肪が増え始めます。

内蔵脂肪をもたらす要因には、糖分の摂りすぎや運動不足が挙げられます。

内臓脂肪は減らしやすい

でも、安心してください。

内臓脂肪は意外と減らしやすいのです。

見た目に目立つ皮下脂肪は、少しずつ増えていき、いったんつくとなかなか取れません。

しかし、内臓脂肪はすぐにたまりやすいぶん、燃えやすくもあります。

やせようと一発発起して、運動や食事コントロールを始めても、脇腹についた皮下脂肪には成果が出ないまま挫折することが多いようです。

でも、美容上はともかく、見えないところで内臓脂肪がいち早く減っていて、そのぶん健康には貢献しているのです。

内臓脂肪の減らし方

内蔵脂肪を減らす確実な早道は簡単です。

  • エレベーターに乗るのをやめて、階段の上り下りをこまめにする。
  • 最寄り駅から少し遠回りをして歩いて帰宅する。
  • 一駅前で下車して歩いて帰宅する。

など、少しの努力で減らすことができます。

決して特別な運動や本格的なトレーニングなどは必要ありません。

都会はいつでもどこでも無料のスポーツジム、ということを心に留めておいてくださいね。

体脂肪の正しい計り方

皮下脂肪でも内蔵脂肪でも、ともかく体脂肪が気になるという人は、体脂肪計の結果に一喜一憂しているのでないでしょうか?

でも、体脂肪を測るごとに数値が大きく違いませんか?

そんなに毎日体脂肪率が変わるはずなにのに!と思うことでしょう。

家庭様の体脂肪計は、体内に弱い電流を流して、筋肉、内蔵などと、脂肪との電気抵抗(インピーダンス)の違いから体脂肪率を測定しています。

筋肉や内蔵には水分が含まれていますが、脂肪には水分はないので電気が流れにくい、ということを利用して計測してます。

つまり、体内の水分量の差が決め手になるのですが、体内の水分は変化しやすく、測り方次第で5%程度の誤差が生じてしまうのです。

体脂肪のベストの測定は、入浴後、血行の良くなった就寝前がベスト。

運動して汗をかいた後、食事の直後、起床直後は正確性に欠けるので避けるべきです。

また、足や腕を曲げていると、筋肉の断面積が広がって、実際よりも体脂肪率が低くなることがありますので、足や腕は必ずまっすぐ伸ばして計測しましょう。