食中毒菌が繁殖しやすい季節
私たちの身の回りには、さまざまな種類のバイ菌が生息しています。特に高温多湿な時期は、バイ菌が繁殖しやすいです。
健康な人にも黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌、セラチア菌などがうようよいます。たとえば、ブドウ球菌なら1平方センチメートルの皮膚に100~1000個程度います。
これら常在菌の多くは通常悪さをしませんが、大腸菌なら悪条件が整えば、20分ごとに分裂を重ねていくので、一個の菌が5時間後には1000個以上、10時間経てば100万個を超える計算になります。
質の悪い菌が活動を開始したら、またたく間に数が増えてしまうということはよくあることなのです。最も繁殖の早い食中毒菌の腸炎ビブリオは、8分に1回の割で分裂するそうです。
食中毒を引き起こす3大原因菌
食中毒などの病原菌には、腸管で増殖する腸炎ビブリオやサルモネラ菌などの「感染型」と、ブドウ球菌、ボツリヌス菌のように食品中に菌が出した毒素を食べて起こる「毒素型」があります。
その中でも、魚介類に多い腸炎ビブリオ、鶏卵や肉類のサルモネラ菌、さらに病原性大腸菌が、食中毒全体の80%を占める3大原因菌とされています。
いずれも、発症するかどうかは、その人の抵抗力と食中毒菌の数が関係します。通常は100万個(ただし病原性大腸菌O157は100個)以上に増えなければ、発症には至りません。
だから、素手で握ったおむすびでも、すぐに食べれば問題ありません。しかし、時間が経つと、思わぬ食中毒を起こすことになります。生もの類は菌が増殖しないうちに早めに食べるにこしたことがないとうのはこのためです。
食中毒を緑茶で防ぐ
食中毒を避けるためには、危なそうな食物を口にしないこと。その上で、家庭でできる対策として「食事の際に緑茶を飲む」という方法があります。
お茶の渋味成分であるカテキンは、ガンや動脈硬化の予防、老化防止になると注目されていますが、食中毒菌をやっつける効果もあるのです。
10000個あるO157に通常の濃さの緑茶1ミリリットルを浸す実験をしたところ、3~5時間後には全て死滅したとのことです。また、無菌状態のハツカネズミに3日間緑茶エキスを与え、O157を口から投与しても、全部のネズミが生存していたそうです。しかし、緑茶エキスを与えないハツカネズミは、10日以内に6~7割が死亡したとのことです。
カテキンの殺菌作用は、腸炎ビブリオ、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌といった食中毒菌だけにとどまらず、コレラ菌、赤痢菌など、多くの病原菌にも効果があるというから驚きです。
カテキンは、ウーロン茶や紅茶にも含まれているのですが、緑茶には、カテキンの中でも最も強力な「エピガロカテキンガレート」が一番多く入っています。緑茶なら飲みすぎの大きな副作用もありません。
緑茶カテキンの食中毒予防法
・緑茶は食事中か、食後すぐに飲む
・カテキンが多い2煎目までのお茶を飲む
・臭み取りを兼ねて、肉屋魚介類の下準備や、包丁・まな板の殺菌に利用する
冷凍食品でも食中毒は起こる
最近懸念されているのが、冷凍食品による食中毒です。主に食品を傷めるのは微生物ですが、氷点下10℃なら、微生物の働きを抑えることはできます。しかし、お店の冷凍ショーケースで、積荷限界線を超えてうずたかく積まれた商品や、家庭での冷凍管理をしっかりしないと、思わぬ食中毒を起こしかねません。
また、コロッケや白身魚のフライなどの冷凍食品は凍ったまま揚げるので、油の中に一度にたくさんの具を入れると、熱が十分に通りません。具の中心部が65℃以下では、腐敗菌が死なないのです。すぐに食べるなら問題ないのですが、お弁当などにして時間が経つと、腐敗菌が増えてしまいます。
このようなケースは案外多いのですが、家庭内だけに限られるので見逃されがちでもありますので注意が必要です。