適切な治療で更年期を乗り切ろう

卵巣から分泌される女性ホルモンが急に減少して、ついに閉経を迎えます。これは女性なら誰もが等しく迎える体の変化ですが、つらい症状に見舞われるかどうかは個人差が大きいです。

たとえ更年期症状があっても生活に支障がなく暮らせる程度なら、食事や運動、休養などの生活改善を心がけることで、十分にこの時期を乗り越えることができるでしょう。でも、つらい症状があるのなら我慢をせず、婦人科などを受診してください。

更年期は体調の変化以外に、子育てや仕事、家事、親の介護、子どもの巣立ちなど、これまでの人生の中で最も思い責任を背負う時期と重なりがちです。ストレスも多いため、つらい状態に一層拍車がかかります。

更年期症状を我慢しながら暮らすより、適切な治療を受けて少しでも心身のつらさを軽くするほうが得策です。

ホルモン補充療法と漢方療法

辛い更年期症状に頼りになる2大治療法が、「ホルモン補充療法(HRT「Hormone Replace Therapy」)」と「漢方療法」です。

更年期症状のうち、卵巣からのエストロゲンの分泌が急に減ることで脳が混乱状態に陥り、体温などを調整をする自律神経の働きが不安定になることによって起こる「ホットフラッシュ」と言われるのぼせや急な発汗には、HRTがよく効きます。

ただし、月経がまだある人には効果が出にくいことが。また乳ガンなど女性ホルモンが関与する病気にかかったことがある人などは、治療を受けられないこともあります。

一方、漢方はめまいや耳鳴り、寝つきの悪さといった原因のはっきりしない不定愁訴があったり、日によって出てくる不調内容が変わったり、またイライラやうつうつといった精神的な症状があったりする場合に効果的。いわば、「何となく不調」の改善に力を発揮します。

もちろん、2つの治療法を併用することも可能です。つまり、ホットフラッシュの症状はHRTで取り除き、それ以外の不定愁訴には漢方薬で対応するなど、両者のよいところをうまく活かしながら治療することもできます。

ホットフラッシュ

更年期症状でよくみられるのが、急な発汗やのぼせなどの症状が出るホットフラッシュ。これは卵巣からのエストロゲンの分泌が急に減ることで脳が混乱状態に陥り、体温や汗の調節をする自律神経の働きが不安定になるために起こります。

ホルモン補充療法(HRT)は減少した女性ホルモンを補って底上げすることにより症状を和らげる治療法なので、エストロゲンが減ることが直接の原因であるホットフラッシュには特に切れ味良く効きます。ただ、日本ではホルモン補充療法を受けている人の割合は欧米に比べて格段に少ない状況です。

治療で補充するホルモンの量は、症状を抑えるのに必要な分だけです。つらい症状を我慢するより、この期間を快適に過ごすために検討してみる価値はあるでしょう。