私たちがお店で手に入れることのできる油は「食用」扱いのものもあれば、「化粧用」扱いのものもあります。

原料となる植物が同じであっても、製造方法や販売上の製品の分類の仕方で、ラベルの表示が変わってきます。

良質のオイルを選んで食卓とボディケアの両方にまたがって、賢く使い回すのは、とても楽しいことかもしれません。

しかし、メーカーやお店の表示の垣根を超えて自由な用途で使うには、自分なりの判断にしたがった安全な選択をしなければなりません。

「食用オイルは口に入れても大丈夫なぐらいなのだから、化粧品として使うのも、まったく問題ないのではないか」と思われることがありますが、必ずしもそうとは言えません。

食用オイルの製造の仕方にもいろいろな方法があり、原料をそのまま絞ってオイルを取る「圧搾法」で作られたものは大丈夫だけれど、溶剤を使って抽出する方法では、残留する微量の溶剤が肌の刺激になるという人もいます。

圧搾法で作っていても、そのあと「脱色精製」や「脱臭精製」をしているものとしていないもののどちらが良いのかも、人によって違ってきます。

ですから、こうしたややこしいことをクリアするためには、「この食用オイルを美容に使ってみようかな」と思ったら、自分でひじの内側に少量を塗ってみて、異状がないかどうか半日ほど様子を見るというパッチテストをしてみると良いでしょう。

食用の表示でも実質的には「化粧品」として出されているものよりも上質で、スキンケアに使いまわしができるオイルも実際はたくさんあります。

でも、その場合も、法律上、販売するお店の側では「スキンケアにも使えます」という案内をすることは禁じられていますから、電話をかけて「肌に使っても良いですか?」とたずねても、「大丈夫ですよ」と太鼓判を押してもらうことはできません。

要は、「食用オイル」か「化粧用オイル」かは、基本的には販売分類上の法律的仕分けであって、「消費者個人にとっての個々の商品の品質」ということで考えた場合、一概にどちらがどうとは言えないものだということです。